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Vercel Chat SDK が AI SDK tools を内蔵|chat/ai で承認付き bot 実装はどう変わるか

Vercel Chat SDK の chat/ai 追加で何が楽になったのかを整理。createChatTools、preset、requireApproval、deprecated import 移行を、Slack / GitHub / Teams bot の実務目線で解説します。

公開: 最終確認: 2026年5月26日
Vercel Chat SDK の chat/ai 追加と承認付き bot 実装のイメージ

先に結論

Vercel Chat SDK の今回の更新は、bot を賢くする新機能というより、Chat SDK と AI SDK のつなぎ込みを雑にしなくて済む更新です。

一番大きい変化は、chat/ai から createChatTools を呼ぶだけで、Chat SDK の read / write action を AI SDK の tool として渡せるようになったことです。

これで Slack や GitHub、Teams 向けの bot は、次の順で作りやすくなりました。

  1. まず read-only で bot を動かす
  2. 承認付きの write action を少しずつ足す
  3. preset で露出ツールを絞り、運用ごとに安全域を分ける

要するに、bot の能力を増やす前に、安全な配線を作りやすくなった という更新です。

何が変わったのか

2026年5月20日の Vercel changelog で、Chat SDK に chat/ai サブパスが追加されました。ここが AI 向け utility の新しい入口です。

今回の更新で押さえるべき点は4つです。

  • createChatTools(chat) で Chat SDK の action をまとめて tool 化できる
  • readermessengermoderator の preset で公開範囲を絞れる
  • write tool は requireApproval を前提にできる
  • toAiMessages などの import は chat/ai へ寄せる流れになった

従来も Chat SDK と AI SDK を組み合わせること自体はできました。ただ、どの action を model に見せるか、write をどう止めるか、message 変換をどこで持つかを自前で整理する必要がありました。

今回の更新で、その接着剤のかなりの部分が公式側に寄りました。

実装者にとって何が楽になるか

一番楽になるのは、bot の最初の一歩を read-only で切りやすい ことです。

Chat SDK docs でも、toAiMessages で履歴を AI SDK 向けに変換し、createChatTools で tool 群を渡す流れが標準形として示されています。つまり、会話履歴の変換と action 配線を同じ入口に寄せやすくなりました。

これが効くのは、たとえば次のような bot です。

  • Slack で質問を受けて返信する社内アシスタント
  • GitHub issue や PR コメントに反応する bot
  • Teams 上で承認カードや通知を返す運用 bot

これまでは各 bot で「どこまで読めて、どこまで書けるか」を実装者が毎回整えていた場面でも、今後は preset と approval を基準に共通化しやすくなります。

まず reader preset から入るべき理由

最初の移行先として無難なのは reader です。

理由は単純で、今回の価値は write action の全面解放ではなく、read-only から安全に広げられること にあるからです。

reader なら、既存の FAQ bot や issue 要約 bot、会話整理 bot を大きく壊さずに移行しやすいです。そこで prompt と会話履歴の扱いを固めてから、必要な操作だけ messenger や moderator へ足す方が運用しやすくなります。

承認設計を後回しにしたまま write tool を増やすと、便利さより先に説明責任が重くなります。bot を業務導線へ入れるなら、ここは急がない方がいいです。

messenger と moderator はどこで分けるべきか

見るべきなのは、bot に何をさせたいかより、失敗したときにどこまで影響が広がるか です。

messenger が向くのは、メッセージ送信や軽い応答の自動化です。たとえば Slack や Teams での一次返信、DM、定型通知のように、書き込みはするが破壊性は高くない仕事です。

moderator は、削除や編集、購読管理を含めて bot に任せたいときの候補です。ここまで広げるなら、単に model の性能を見るのではなく、誰が承認するのか、どの操作をログで追うのかまで決めてから進めるべきです。

この線引きを曖昧にすると、bot の導入判断ではなく権限設計の問題になります。

requireApproval が実務で効く場面

今回の更新で一番実務寄りなのは requireApproval です。

AI agent の write tool は、使えるようになった瞬間より、人が止められる状態で出せるか のほうが大事です。Chat SDK 側で approval を前提にできるなら、Slack や GitHub 上の bot をいきなり完全自動へ振り切らずに済みます。

特に向いているのは次のような場面です。

  • GitHub issue へ label やコメントを書き込む前に人が確認したい
  • Teams や Slack で重要な通知だけ承認後に送信したい
  • workflow の一部だけ bot に任せ、人間が最後の send を持ちたい

この設計は、ChatGPT apps や MCP 系の導線を考えるときにも効きます。外部ツール連携を増やす前に、read と write の境界をどこで切るか を決めておくと、その後の拡張で迷いにくくなります。より広い外部接続の選び方は、ChatGPT apps vs Zapier vs Make vs MCP も参考になります。

import 移行は今のうちにやる価値がある

toAiMessages と関連型は top-level の chat からも引き続き使えます。ただし、今回の docs では chat/ai が正式な置き場所になっています。

つまり今後の実装では、次の整理を早めにやっておく方が自然です。

  • toAiMessageschat/ai から読む
  • AI SDK tools まわりの import を chat/ai 側へ寄せる
  • 旧 re-export 前提の helper を新入口に合わせて整理する

差分自体は小さくても、bot 実装が増えてから移行すると地味に面倒です。今回のアップデートに合わせて import を寄せておくと、後で read/write の構成を見直しやすくなります。

Slack / GitHub / Teams bot の導入順

この更新を実務に落とすなら、導入順はかなりはっきりしています。

1. 既存 bot の import と履歴変換を寄せる

最初にやるのは、toAiMessagescreateChatTools を新しい入口へ寄せることです。ここは差分が小さく、効果が見えやすいです。

2. reader で read-only bot を作る

次に、情報取得と返信だけに絞った bot を動かします。PR 要約、issue 要約、社内 FAQ のような用途ならここで十分なことが多いです。

3. 承認付き write action を 1 つだけ足す

いきなり全部渡さず、まずは 1 操作です。たとえば GitHub へのラベル付け、Slack での定型送信、Teams での承認済み投稿など、責任範囲が読めるものから始める方が崩れません。

4. preset を job ごとに分ける

社内アシスタント、通知 bot、モデレーション bot を同じ権限で回さない方が安全です。bot ごとに preset を分け、承認要否も分けると、運用レビューがかなり楽になります。

どの記事に内部リンクをつなぐべきか

今回の記事は単発ニュースで終わらせず、bot 導入のハブにしやすい題材です。

主語はあくまで Chat SDK の更新ですが、その先にある bot 運用や自動化設計へ自然につなげやすいのが今回の強みです。

まとめ

Vercel Chat SDK の chat/ai 追加で変わったのは、bot の派手さではなく実装の筋の良さです。

createChatTools、preset、requireApprovaltoAiMessages の新しい置き場所がそろったことで、Chat SDK と AI SDK をつなぐ作業はかなり整理しやすくなりました。

既存 bot を触るなら、まず read-only で移行し、その後に承認付き write action を足す順が安全です。Slack、GitHub、Teams bot を 1 つのコードベースで育てたいなら、今回の更新はかなり使いどころがあります。

最後に確認すること

既存 bot が read-only 中心なら、まず chat/ai に寄せて reader preset で移行し、write action は requireApproval を前提に messenger か moderator へ広げるのが安全です。

向いている人

  • ・Slack、GitHub、Teams 向けの bot を 1 つのコードベースで育てたい開発者
  • ・read-only bot から始めて、承認付き write action へ安全に広げたいチーム
  • ・AI SDK と Chat SDK の glue code を減らし、import 移行もまとめて片づけたい実装担当

避けたい人

  • ・chat UI を持たない単発の API agent だけを作りたい人
  • ・承認フローなしで write action を全面自動化したい人
  • ・Chat SDK を使わず、各プラットフォーム SDK を個別に直接叩く前提のチーム